「大津宿場町構想」~宿場町大津の復活にむけて~
東海道五十三次で最もにぎわった宿場町は「大津」であった。終点京都を目前に、最終53番目、街道最大の宿場として栄え71件の旅籠があったという。しかし現在の大津は・・・。先日発表された「都道府県の魅力度ランキング2018年」によると、滋賀県は38位。前年の28位より大きくランキングを下げている。https://rocketnews24.com/2018/10/16/1127992/
こんな現状を打開しようと、大津市は、大津宿の歴史を伝えるとともに、大津のまちにおける人の滞在期間の増加を目的に、宿場町大津の復活を目指して空き町家等の利活用と宿場町大津の魅力を伝える人材育成を図るための取り組みを進める「宿場町構想」を策定した。そしてその構想を応援しているのが、雑誌『自遊人』を発行し、新潟県南魚沼市で〈里山十帖〉を手がける〈自遊人〉の岩佐社長である。先日、大津を訪れた岩佐社長のお話を聞く機会に恵まれた。
岩佐社長は、このプロジェクトの目玉として、全国初の商店街ホテル〈商店街HOTEL 講 大津百町〉を今年8月にオープンさせた。現在はまだ稼働率が20%を超えたところで、まだまだこれからであるが、新潟の<里山十帖>を手掛けた際もオープン当初は同じような状況であり、手ごたえは十分感じているとのことである。
これまで観光ではいつも水をあけられていた京都に対し、10年後は「京都→大津」ではなく「大津→京都」に必ず逆転できる、「京都の前に 大津(滋賀)」でPRしていきたいと語った。大津には京都とは違った良さが有る。外国人の生の声としては、京都は「外国人で溢れかえってる」が、大津はそれがまだないので、下町風情やリアルな日本を味わえるエリアが点在することが魅力であると。
私は大津に生まれ育って52年になるが、確かに大津は住みやすい町である。琵琶湖を中心に自然環境が素晴らしく、ゴルフ場やスキー場へ車で1時間以内ですぐ行けるし、若狭湾のきれいな海も日帰りで充分堪能できる。滋賀大学や立命館大学、龍谷大学などの教育環境も充実している。一方京都までJRで10分、大阪までも乗り換えなしで40分、余裕ので通勤圏内だ。
それでは具体的に「大津」をどのような手段で復活させるのか?
その重要なカギはズバリ「スマホ」‼人の心に残る日常の風景を各人が発信することで、人々の共感の連鎖が生まれる(共感マーケティング)。地方の潜在的観光資源が、京阪神ではなく、全国・海外に驚くべきスピードで伝わっていく可能性があるのだ。
馬杉湖魚店の「時雨煮」、タニムメ水産の「うなぎ」、千石寿司の「押し寿司」、自然坊たなかの「和食割烹」、比良山荘の「山野辺料理」・・・。我々は普通に味わっているが外から見たらすごい財産である。そんなことを岩佐社長に気づかせていただいた。大津の復活に私も微力ながら貢献したいと願っている。