コロナからの復活② 「Go To トラベル事業」
ようやく6月19日から都道府県を越えての移動が解禁になり、観光業復活に向けての取組が始まった。これからは新型コロナウイルス対策と経済活動を両立する段階にきていると言える。
日本旅行業協会は6月22日、東京・霞が関の本部において第64回定時総会を開催した。会の冒頭、来賓として観光庁長官の田端浩氏が登壇し、あいさつのなかで国内旅行需要を喚起する「Go Toキャンペーン(Go To トラベル事業)」について言及した。
「Go Toキャンペーン(Go To トラベル事業)」の事業規模は1.3兆円。「きちっとした手続きのもとに進め、迅速なスタートができるよう取り組み、8月の早いうちからぜひスタートしたい」と述べた。キャンペーンでは一般消費者の国内旅行を対象に宿泊・日帰り旅行の費用の「1/2相当」を、「1人1泊あたり2万円を上限」「日帰りは1万円を上限」に支援する。連泊制限や利用回数に制限はない。
キャンペーンの対象になるのは、旅行会社などが提供する往復の交通と宿泊(現地施設利用・観光・食事など)がセットになった旅行商品。1人で1泊5万円の場合「1/2相当」は2万5000円だが、上限は「1人1泊あたり2万円」のため、支援額は1人1泊「2万円」となる。支援額が2万円の場合の内訳は、1万4000円が旅行代金の値引きに、6000円が「地域共通クーポン」として旅行者に配布される。地域共通クーポンは、その旅行商品で訪れる現地で使えるクーポンで、紙のチケットやスマホの画面表示で利用して、お土産や飲食、アクティビティなどに利用できる。キャンペーンの対象になるのは、旅行会社などが提供する往復の交通と宿泊(現地施設利用・観光・食事など)がセットになった旅行商品。例えば支援額が2万円の場合の内訳は、1万4000円が旅行代金の値引きに、6000円が「地域共通クーポン」として旅行者に配布される。
田端長官は、観光業界が新型コロナの影響下での企業の存続・雇用の維持という段階から、本事業によって「皆が共存をして利益をあげてしっかりやっていくための予算」であることを強調。コロナ以前の単なる価格競争ではなく、「旅行業界も宿泊業界も適正な利益をあげること、地域経済を支えていくことを、観光産業界で一致団結して取り組んでいただきたい」と述べた。
そして旅行会社や旅行業者は旧来の薄利多売の発想ではなく、この時代だからこその企画力を発揮してほしいと求めた。3密の解消、連泊をしたくなるような提案、週末だけでなく平日も旅行をしたくなるような企画を立てる、「旅のコンシェルジュとしての役割」が求められる段階にきており、「withコロナでの新しい旅のスタイルに向けたよいチャンス」と鼓舞。
本事業の特徴は「地域共通クーポン」にあり、従来のいわゆる「ふっこう割」と異なる点であり、旅行者が現地で消費するという各地域の隅々まで波及する事業だからこその大規模予算となっており、地域産業と協力して「滞在型観光」につなげていってほしいと述べた。
本事業は国内旅行向けのものだが、数か月後に向けたアウトバウンド・インバウンドへの準備も合わせて進めてほしいと強調。出かける・受け入れる環境整備には各産業界の協力が必要であり、「民間からも大きな声をあげていくことも必要」とし、「新しい旅行産業界の発展に向けた取り組みを一緒になって進めていきたい」と呼びかけた。