大鹿村・中津川・恵那地域 「持続可能な観光」取り組み視察

私が代表を務めさせていただく、しが観光経営研究会が、一般社団法人中小企業診断協会、令和2年度調査・研究事業に応募し採択されました。テーマは、

『観光関連事業の持続的成長に向けた新しい手法の調査・研究』~ コロナ禍における「観光版BCM(事業継続経営)」の策定 ~ です。

本年初頭から世界中に蔓延した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、「リアル」の提供が経営主題である観光関連事業は甚大な被害を被っています。

新型コロナの発生から既に1年近く経過するも未だ収束するどころか第3波が押し寄せ被害が拡大している状況です。回復の見通しが立っていない中、観光関連事業者は、公的手段を活用しながら、事業継続を模索しているところである。「持続的成長」よりも前に、まさに「今をどうするか?」という問題に直面しています。

この数十年を振り返ってみると、阪神淡路や東日本大震災を始めとし、近年では地球温暖化の影響を受けて毎年発生する水害など多くの自然災害を経験しています。その経験の下で、既に危機対応に関する事業者の意識も高まっていたはずであり、公的機関等の政策においても、中小企業へのBCP(事業継続計画)の普及が議題に載らないことはありませんでした。

ところが、「2020年版中小企業白書・小規模企業白書 新型コロナウイルス関連部分」では、BCPを策定済または策定中の中小企業は全体の19%に留まっており、2017年の内閣府発表データによれば、宿泊・飲食サービス業は15%と全産業で一番低くなっている。加えて、宿泊業、飲食サービス業では「固定費と流動性の高い手元資産の比率」が0.5であるという財務省のデータは、“このまま自粛が続くと半年で事業が継続できなくなる事業者が続出する”という事を示しています。

このような状況の中、「BCPの観点から、観光関連事業の持続的経営」に関して分析研究することは有意義であると考え今回の調査研究を開始することと致しました。

この調査の一環として、12月13日~14日の2日間、長野県大鹿村、岐阜県中津川市・恵那市を訪れました。大鹿村では、1日2組限定、きのこやジビエ等地元で取れる四季折々の食材のみを家族経営で提供されている、「旅舎右馬允(うまのじょう)」、廃校になった地元中学校を標高1,000メートルの地へ移築、宿泊施設として再生させた「延齢草」のご主人様、女将さんのお話をお伺いしました。また中津川では、今年4月に民間出資のDMC「Meets Nakasendo 合同会社」をスタートされた、合同会社 久悦代表の宮田氏と意見交換を行いました。

両者に共通して感じたことは、必ずしも観光先進地と言われない地域でも、「土地の風土を徹底的に知り、味方にする。無理矢理ねじ伏せるのではなく、ここに一番合ったことをするのが大切」ということ。すべてを完璧にやるのではなく、できるところから少しずつ取り組みを広げていく、それが持続的観光につながるということでした。

この研究事業の成果は、来年2021年3月に報告書を完成させる予定です。

 

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です